2023年5月「低山はいかい」

城ヶ島

(令和5年5月24日(水)実施 )
【場所】城ヶ島


【実施概要】三浦半島最南端に位置する城ヶ島の磯歩き、海浜性植物の観察、断層や地層の観察(太古の地球の蠢きを感じる)


前日の雨も上がり5月晴れの爽やかな天気になる。集合場所の京急三崎口からバスで、城ヶ島大橋の近くの栄町で下車。城ヶ島大橋は三浦半島と城ヶ島を結ぶ長さ575m、本邦初の本格的な鉄鋼の橋で3年かけ昭和354月に完成した。鋼床版箱桁を採用、軽量化をはかり20tの重量にも耐えられるように作られた。海面からの高さが21m、橋上からは相模湾、伊豆半島、丹沢山地、東京湾(浦賀水道)、房総半島がパノラマのように広がり素晴らしい眺めだ。

 

城ヶ島に渡り、北原白秋の「雨はふるふる城ヶ島の磯に利休鼠の雨が降る」の歌碑、白秋記念館に立ち寄る。「利休鼠」とは緑がかった灰色、どんな雨なんだろうか? まだ5月なのにアジサイが盛りだ。ヤマグワの実を食べてみる、甘酸っぱくて美味しい。城ヶ島は昔は海岸線を一周できたが、今は崩壊している場所があり島一周はできなくなったとのこと。

高台にある県立公園に登り、安房埼灯台を目指す。途中、テイカカズラの海浜性異種、チョウジカズラを観察する。公園内のクロマツの並木が風を避けるように島の内側に傾いて枝を伸ばす姿が印象的だ。海は穏やかで青く、房総半島の山並み、伊豆大島がくっきりと見えた。

 

灯台下の安房埼の海岸に下り海浜性植物を観察しながら磯を歩く。ソナレムグラ、ハマエンドウ、コウボウムギ、イソギク、ハマヒルガオ、アシタバ、ラセイタソウ、ハマオモト(ハマユウ)、ツルナ、ボタンボウフウ、テリハノイバラ、ミヤコグサ、ハマナデシコ、ハマゴウ、ハマタマボウキ。公園に上り返し、ウグイス、イソヒヨドリの声を聞きながら昼食をとる。

 

城ヶ島には渡り鳥ウミウの生息地があり営巣場所を遠望できる展望台がある。4月に大半は北へ渡ってしまうそうだが岩棚先端で羽を広げているウミウを一羽確認。関東ローム層の崖の急な階段を下り、海蝕洞穴で有名な「馬の背洞門」へ。全体の高さは8mあるが、もともとは洞門まで海が来ていて小舟が通れたという。1923年の関東大震災により1.6m隆起し現在の海蝕台の姿になった。その地殻変動に大地の動きを身近に感じた。

 

長津呂崎で不思議な形の地層、火炎構造を観察する。下層がまだ凝固していない時に上層が堆積し、重みで下層と上層との間の層理面が炎のような形になる構造。自然の造形だが、彫刻のような美しい形にしばし見とれてしまう。断層、生痕化石などの観察もでき、太古の地球に思いを馳せる。14時発の渡し船に乗り、城ヶ島を後に三崎港へ渡る。振り返りの会では新鮮な生シラスやマグロの刺身に感激。天気にも恵まれ楽しく充実した一日だった。(写真:馬の背洞門で、イソギク、スランプ構造の岩


【参加者】13名 福重(幹事)、金谷、加古、嶋田、鈴木、田口(報告)、津田、原田、廣川、福田、丸山、三井